〜妻どころか日本ニーダーの手も借りて〜突撃! 日本ニーダー株式会社 編【前編】

前回第2弾で作ったヘルシーな「全粒粉くるみパン」。初めての二段階ニーディングにもチャレンジし、何となく成功のような気がしていた(食べたら美味しかったし)。しかし見る人が見たらわかるもので、後で日本ニーダーの方に「もう少しふっくら仕上がりますよ」との指摘が。確かに見て見ぬ振りをしていたが、確かに「ニーダーレシピブック」の写真はもう少し厚みがあり、ふっくらしている。
「一度弊社スタジオキッチンに来ていただければ、教えますよ」
そこで、突撃してきました、妻を引き連れ、日本ニーダー株式会社に!

約2時間かけてたどり着いた日本ニーダーの社屋にいろいろびっくり!

筆者が住んでいるのは東京・高円寺界隈。日本ニーダーがある場所は神奈川県藤沢市。正直、ちょっと遠い。

まず新宿に出て、小田急線に乗り換え、さらに小田急江ノ島線に乗り継いで、長後駅。

初めて降りた、長後駅。”ちょうご”と読むのも初めて知った。

担当者のKさんに迎えにきてもらって、クルマでたどり着く。総じて2時間弱の道のりを経て、ついに日本ニーダー株式会社に到着。この辺は、藤沢市が盛んに工場を誘致している土地柄ということで、いろいろな企業の工場があちこちに。
「普段、米軍基地の飛行機も飛んでいますよ」
という広々した風景の中に点在するどでかい社屋が不思議な未来感の一帯。その中心部に、きれいなライトグレーの大きな社屋。あいにくの雨模様だったけれど、記念にパチリ。

広々していて、都心よりも随分と空気がきれい。

お馴染みの特許の羽根をかたどったマークがついた社名ロゴ。

建物の中にまた建物があるマトリョシカ構造!?その横には大きなスタジオキッチンが!

社員の方々の脇をすり抜け、大型エレベーターで上昇すると、グリーンの床の広いフロアが広がる。

驚いたのは、その奥の方にあったログハウスっぽいカフェ様の建物。

日本ニーダーはパンこね機「パンニーダー」を作っていて、カフェやレストランなどで使う業務用まで手がけている会社。
なのでその延長線上にある発酵器を手がけるだけでなく、こうしたカフェハウスまで売る体勢があるんだとか。すごい。

中はこんな感じ。公園脇などで焼きたてパンとコーヒーなどのカフェメニューを出すお店ができるパッケージ。これは夢が膨らむ。

と、その横には大きなスタジオキッチンがあった。普段はここでパンスクールなども実施しているそう。そーっと扉を開けると左にKさん。正面には初めてお会いするみゆき先生。

パン作りに真摯に取り組む日本ニーダーの方々。

みゆき先生は普段からユーザーの問い合わせに応えるために、自分でも作ってみて試しているんだとか。家でもお子さんにパンを焼いたり、まさにパンづくし人生を展開中というから心強い。

その手元で、動いているのはまさに「パンニーダー」。生地の温度が高くならないように保冷剤を巻いている。

今まさに「レーズンパン」をひとひねりしたアレンジで製作中なんだとか。途中からではあるが、筆者も同行した妻も適宜手伝わせてもらうことにする。

用意してあったレーズンとオレンジピールをパンニーダーの中に投入するというお手伝い。

中に具材が混ざらないとなるとすかさずハサミを入れるみゆき先生。

みゆき先生との話の中で「この子は…」と練り上げ中の生地に言及したのを筆者は聞き逃さなかった。以前記事でも触れたが、この練り上げているさなかの生地は見ていると愛着が湧き、”うちの子”と呼びたくなると書いたが、本家日本ニーダーでも同じように呼んでいたのに感動した。

良い感じのこねあがりとはこういう状態だそう。なるほど。

生地が温まり過ぎていないか、ここで秘密兵器を使う。これは対象物の温度を離れたまま測れるプロ仕様のツール。約29℃だったので大丈夫。

念のため手のひらを測ると、平熱だった。

どういう状態が理想のこねあがりなのかを教えてもらう。そこらへんがなかなか実感としてわかりにくいところだったが、今回理想の姿を現物で見せてもらって、しっかり見切ルことができた。

質感は弾力があり、表面は濃厚な乳液を塗り込んだ肌のようにじゃっかん吸い付いてピトピトする感じ。わかった、うれしい。本などではなかなかわからないところを確認できた。

入れたまま発酵もできるのだが、次に我々のための「全粒粉くるみパン」のためにパンニーダーを空けなくてはいけないので、ボウルに取り出し。わが家にあるのよりもひと回り大きな発酵器に入れる。

「全粒粉くるみパン」復讐戦開幕。今度こそ、ふっくらできるのか!?

スペシャルアレンジの「レーズンパン」のお手伝いをしつつ、いよいよ当初の目的の「全粒粉くるみパン」作りに再チャレンジだ。たとえ食べて美味しかったとはいえ、見た目も大切なのがパン。なので今度は妻とともに、日本ニーダーの力を借りて、オリジナルのエプロンも借りて、挑む。

いざ、スタート。と、すでに一番面倒な作業である計量が済んでいる材料が勢ぞろい。これは助かる。

今回はレシピの倍量、12個分を一気に作る。使うパンニーダーは今まで筆者が使ってきたものと同じ。なのに倍量もこねられるというから、すごい。

用意してあった材料をパンニーダーに投入。

スイッチオン!

力強いニーディング開始。最初だけ粉が飛ばないように蓋をかぶせておく。

粉っぽくなくなったら、蓋を取って観察開始。これ、やってみるとわかるのだが、ついついじっと見つめてしまう。通常のホームベーカリーでは中を見ることは不可能だが、実は筆者はこのこねられる様を観察できるのが最高の楽しい部分だと思う。

一生懸命働くパンニーダーにこね作業を任せ、その間にキッチンのあちこちを観察する。今発売されているパンニーダーは試行錯誤を経てたどり着いたスケルトン構造だそうで、以前は中が見えない仕様だったそう。

大きくて力強そうだけど、中が見えない…。お楽しみ半減。

こねるための羽根もいろいろな形がある。一番右はお馴染みの特許の羽根の大型バージョン。

この通り、巨大!

いろいろ楽しんでいたら、一段階目のニーディングと熟成が終わっていた。急いで二段階目の材料を投入する。

なぜ二段階でニーディングすると良いのか。それは塩がパン生地の発酵を阻害するから。なので塩抜きである程度ニーディング・発酵させてから二段階目で塩を含む残りの材料を入れたほうがふっくら仕上がりやすいのだ。そう教わった(受け売り)。

量が多いとニーディングもひときわダイナミック。見とれてしまう。

生地がまとまってきたらバターを投入。動いている生地の隙間に素早くバターを投入しようとすると勢いで腕を持っていかれそうになる。おとなしく一時停止して入れるのが賢い(経験者は語る)。

そうこうしているうちに、ピー音で振り向くと、序盤でレーズン&オレンジピール入れを手伝った変わり種レーズンパンの一次発酵が終了。

そうこうしているうちに「全粒粉くるみパン」のくるみも入れないと! 忙しくなってきた!!

勢いよくザザーッ。

そのくるみごとぐいぐいニーディングするパンニーダー。力強い!

で、そうしたら変わり種レーズンパンの成形を開始しなくてはならない。パン屋さんの大変さがわかる。たった2種類でこれだけてんてこ舞いしているんだから。

デーンと台の上に置かれたレーズンパン生地。下のマットがメモリが入っていて、すごく使いやすそう。人造大理石製でAmazonで普通に売ってるそう。

みゆき先生いわく、成功の秘訣はきっちり計って計算すること。生地の重さを等分すると何グラムになるかの計算も必要になるので、傍に計算機必須。

円形の生地の真ん中をカードで切って、棒状になるように広げる。

一個あたりの重さもしっかり計量。

と、ここで「全粒粉くるみパン」のニーディングが終了。発酵器に入れなくては。

記念に検温。27.8℃!

ポットのままズドンと入れられるのは、家でやったのと同じ。振り向くと、先ほどの変わり種レーズンパンの成形がどんどん進んでいるではないか。もうダメだ、訳がわからなくなってきた。妻よ、頼む!

みゆき先生のカードさばきはお見事。

くじけた筆者の代わりにレクチャーを受ける妻。

表面をピンと張るようにして全体を丸め込んでいくの術を教わる妻。

本ではわからなかったが、なるほど、そういうことだったか。全体を見て、よじれたりしていないきれいな面を探し出し、そこを中心に広げるように生地をピンと張りながら丸め込む。わかった上で、レクチャー本が何を言いたかったのかが、やっとわかった。

濡れたふきんをかけて、15分のベンチタイム。

ここでレーズンパンご一行は二手に分かれるということをKさんから知らされる。聞いてないよ! でも確かに一つの生地だからといって、全て同じパンに仕上げる必要もない訳だ。なるほど。

なのでもう一種類として、めん棒で平たくして型に入れるパターンを教わる。

平たくするのは簡単。だがそれをカードできれいに剥がすのは意外と難しい。

みゆき先生の成形は素早くきれい。さすが。

と、またしてもそうこうしているうちに発酵終了のブザー。振り向けばそこに「全粒粉くるみパン」再挑戦バージョンの生地が、発酵を終えて大きく膨らんでいた。

パンニーダーと発酵器があれば、すくすく発酵。親は無くとも子は育つ的な思いを一瞬感じる。

次はガス抜きだ。そう、再びパンニーダーにポットを取り付けて、回せばいい。半ば暗記してしまった「ニーダーレシピブック」の内容が、今日覚えたての知識が、頭の中を縦横無尽に飛び交う。さすがにパン作り初心者の筆者にとって、並行作業は難しい。

すっかりこんがらがった頭のまま、窓の外を見ると、虹がかかっていた。まだまだいろいろわからないまま突き進んでいるところはあるが、これは幸先が良さそうだ。気を取り直して、再びパン作りに戻ろう。

後編へ続く

文/清水りょういち 撮影/清水葉子

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