前回第2弾で作ったヘルシーな「全粒粉くるみパン」を改めて完全なる成功に導くために、日本ニーダー株式会社のスタジオキッチンに訪れた筆者とその妻。怒涛のパン作り体験はついにクライマックスへ!
まだまだ続く同時進行パン作りに頭の中はすっかりカオス!
同時進行でいろいろなパンの生地が次々とニーディングされたり、その背後で発酵が終わったり、そうこうしているうちに成形が行われたりとまさに大忙しな現場。筆者はその魅力にとりつかれつつも、体がついていかなくなり、自然と妻の出番が増えていく。
と、またよそ見をしていたら、今回の主目的である「全粒粉くるみパン」が分割されて成形の段階となっていた。我ら夫婦の間で非常に謎が謎を呼んでいたくるみパン特有の5つの切れ込み。何よりもどの程度までざっくり切れ込みを入れていいものかが、最大の論点だった。
「そんなダイナミックにいっちゃっていいんですか!?」
「真ん中さえ少しでも残しておけば大丈夫。思い切っていっちゃってください」
というみゆき先生の言葉に背中を押されて、妻が挑む。
そんな妻の悪戦苦闘を眺めていたら、視界の片隅で怪しい動きが。先ほど、どこかで何かを包丁でカットする音が聞こえていたが、それはどうやらKさんのオレンジを切っている音だったらしい。そんなこと、聞いてないよ…。
焼く前に早くも判明して来た己れたちが
しでかしてきた間違いポイント
すっかりKさんの職人技に見とれていると、肝心の「全粒粉くるみパン」のことを思い出した。そういえば、あの子たちは無事なのだろうか?
この時点でもう、違う結果が出そうな気配が濃厚。表面の質感はタイトだし、膨らみ方が格段に違う。なるほど、どこで間違えたのか。
1.生地を丸める時に表面を張らせて成形しなかったからか?
2.発酵の見極めが甘かったせいで発酵が足りない?
3.切れ込みがおっかなびっくりすぎた?
聞かなくてもわかる、その全部だ。
かなり勉強になったと思う。特に匂いや感触、見た目などのパン作りの感覚的な部分を、まさに現場のど真ん中で体験できたのは非常に興味深い体験だった。奥が深いことは死ぬほどわかったが、パン作りには目安の時間があるにしても、最後は感覚なのだなということも。
温度計も役に立つし、一つの生地からアイデアでバリエーションを生み出してもいいという自由度の高さもとても魅力的。そしてパンニーダーと発酵器を使うことで、その変化を目視できるというのがすごく楽しい。そして、そして、すごくお腹が減った。何か、すごくいい匂いがする! これは焼きたてパンの香り。腹の虫が夫婦もろとも鳴り出してハーモニーが生まれる。
2時間かけて、来た甲斐があった。現場で見なければわからないことがたくさんある。半分以上妻と日本ニーダーの方々にやってもらった気もするが、これで「全粒粉くるみパン」の成功のさせ方はよくわかった。もう大丈夫、とどんと胸を叩いて言える感じだ。多分、きっと…。
それでは今回完成したパンたちを一気に紹介しよう。
やはりこね作業(ニーディング)をパンニーダーに任せられるのは大きい。そしてその余った力をいろいろなバリエーションを生み出すために使えるというのがパンニーダーを使ったパン作りの良いところだと思う。日本ニーダーのスタジオキッチンを訪れて、何やらひと回り大きなった気がした筆者と妻だった。
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文/清水りょういち 撮影/清水葉子