健康が気になる中高年なお年頃に最適なニーダーを使った全粒粉くるみパン作り〜妻の手も借りて〜

前回「ニーダーを使った初めての男のパン作り〜妻の手も借りて〜」で、何とか焦がしつつも人生初めてのパン作りをこなした筆者。今度は健康が気になる中高年なお年頃ということもあり、ヘルシーな「全粒粉くるみパン」作りにチャレンジだ!

パン作りを始める前と作った後で
パンへの目線が大きく変化した!

前回 ニーダーを使った初めての男のパン作り〜妻の手も借りて〜 で、見た目は何だが、結構美味しくて感動体験でパンの魅力にとりつかれてしまった筆者。その後、「80分でできるお手軽パンレシピ」を成功させ、もはや今までとはパン屋に行っても、視点が違う自分となった(一度や二度の経験で、調子にのるかという意見もあるかもしれないが…)。

そしてひたすらあちこちのパン屋に足を運ぶことも多くなった。ところがこのパンというものは、精製された小麦粉で作られるのが基本。なので中高年の筆者としては、実はそんなに積極的に食べ過ぎて良いものでもない。

今回もお世話になる「洗えてたためる発酵器 mini PF100」(写真上)と職人的パンこねマシン「パンニーダーPK660D」。

そこで気になってきたのが、全粒粉を使用したヘルシーなパン。そして日本ニーダーのレシピを眺めていたら、パンニーダーの力を借りればどうやら 全粒粉くるみパン なら、何とかできそうだ。しかもくるみパンというのも好物なのでぜひともこれは成功させたい。

完成予想図。これはかっこいい。

二段階ニーディング、
挑戦させていただきます!

今回、必要な材料は2つに分けて用意する。そう、今回は一気に材料を入れて突っ走るよりも進化した2段階ニーディングにチャレンジするのだ。

■ニーディング①材料A
強力粉 120g、ドライイースト 5g、砂糖 15g、水 204g

と言っても実際は、発酵を邪魔する塩を入れずに5分間ニーディングして10分間熟成し、より発酵を促してから、おもむろに残りの塩を含んだ材料を投下するだけなのだけれど。それでも本格派に一歩近づいた気がするので、おすすめな手法だ。

穏やかな雰囲気の第一段階ニーディング。イースト菌の特有の香りが前回よりも元気よく漂ってくる気がした。

今回の主役となる全粒粉の入った■ニーディング②材料B
強力粉 90g、全粒粉 90g、塩 4g

今回のレシピを見て、改めて気がついたのが、全粒粉のみではグルテンが生まれにくく、強力粉と混ぜて使うということ。お恥ずかしいことに、全粒粉パンはすべて全粒粉で作られていると思っていた。そういえば市販のパンをよく見ると、全粒粉○パーセントと書いてある…。

そんな発見をしながら二段階目の材料を投入。

後から入ってきた材料もろとも、「パンニーダー」が豪快にニーディングしてくれる。所要時間は15分。

しかしこね技に見とれている場合ではない(これ、結構飽きない)。5分ぐらいで生地がまとまってくるので、忘れずにあらかじめ室温で柔らかくしておいた無塩バターを二回に分けて投入するのだ。

ニーダーの速度を遅くすれば、簡単にバターは入れられる。高速で素早く入れよう、餅つきのひっくり返す側の人のように鮮やかに、などという余計なことは考えないこと。

高速回転! などと緩急をつけながらニーディングスピードを変えると楽しい。遅くしたり、だんだん早くしたり。パン職人になったつもりで。

と、そうして遊んでるうちにローストしておいたくるみの投入を忘れないように。

くるみはこねあがり2〜3分前に入れるとのこと。15分ニーディングはパンニーダーのタイマーで設定できるが、素人なのでバターのタイミングやくるみタイミングを適宜別のタイマーが鳴るように設定する。トッピング用くるみ6個はよけておく。

もう少し細かく砕いておけば良かったと思わないでもない。ふちにコンコン、くるみの当たる陽気な音がする。

ニーダーのポットごと、ズドンとあらかじめ35℃以上になるようにしておいた発酵器へ。ドアの開け閉めや生地のせいで温度がすぐ35℃以下になってしまうので、37〜38℃くらいにしておいた方がいいかも。イースト菌が元気になるのは、35〜40℃あたりだからだ。

ちゃんと発酵して大きくなった! 目安は2倍の大きさ。

発酵した生地の入ったポットをパンニーダーに再びセットして20秒ニーディングでガス抜き。瞬間技だ。

さあさあ急いで分割だ。ちょっと疲れたので、妻の手を借りることにする。

ほとばしる不穏な空気。ひょっとして、
我々は”やってしまった”のだろうか…!?

人間、慌てるとろくなことはない。何かがおかしいとはっきり感づくためには、それなりの余裕が必要なのだ。そう、我々は失敗した。

「80分でできるお手軽パンレシピ」で鍛えた丸め技、と言いたいところだが、均等量にするのは難しい6分割。

丸めたら付属のパン型に入れて、濡れふきんをかぶせてベンチタイム15分。

何かが違っている気がする…。気のせいか。

今度は手でガス抜きをしながら丸め、くるみをのせて再びパン型へ。切り込みを入れるのを忘れてた! 無理やり型の中で分割。やはり何かおかしい。

発酵器35℃で25~35分。オーブンを190℃設定で予熱開始。発酵後、オーブンへ。

つまり、焼いていて気づいたのだ。大きな失敗をしでかしていたことを…。パン作りに慣れている人なら当然のことだし、常識で考えても当たり前のことだが、余裕のない素人に毛の生えた筆者は気づかなかった。それも夫婦もろとも。

思っていた形と違う…。

もはや時すでに遅し。そう、前回使用したパン型にぎゅっと詰め込んでしまったがゆえに、形が前回と同じになってしまったのだ。切れ込みなどどこへやら。考えてみれば当たり前だ。レシピの完成予想図になるためには、パン型にくっつけて詰め込んだら、それは無理だ。

ちなみにその正しいくるみパンの5つの切り込みを入れた不思議な形は、くるみをスライスした時の形がモチーフなんだとか。

中にくるみも入っていて、二段階ニーディングのおかげか、発酵不足の時に出るアルコール臭もなく、全粒粉ならではの穀物風味もふんわりとして、食べたら美味しかったのだが、やはりこれは成功とは言えまい。

再びチャレンジ! 今度こそしゃれた形の
全粒粉くるみパンを焼いてやる!

今度は妻が用意周到にあらかじめ2回分の材料を別に用意してから挑戦。ボウルに(A)と(B)を明記。

パン型に入れてしまったタイミングまでは同様の行程なので割愛。しっかり「パンづくりの失敗と疑問を解決する本」(ナツメ社)も読んでの再挑戦だ。

本の171ページに書いてあった「猫の手のようにして丸める」に挑戦する妻。

今度は切れ込みもバッチリと入れる。ちなみにこの5つに分割というのがわかりにくかったのだが、筆者は漢数字の「六」を書くように分割すればいいのではないかと思いついた。

今度はきちんとそれぞれをくっつけないまま発酵器へ。そしてオーブンで焼くこと190℃13分あまり。

多少形はいびつで楽譜のコーダみたいな気もするが、「全粒粉くるみパン」完成! 事前に用意しておいたウィンナーとピクルスとともに、バターをつけて食べる。

穀物感が軽やかに通り抜け、一度めよりも細かく砕いたくるみ(二度目は生くるみを自力でローストして使用)の風味と相まって、抜群に美味しい。しかもヘルシーなことは間違いない。切れ込みは…、まあ、あってもなくても良いような。

再挑戦への敷居もグンと下げてくれたのは
全て「パンニーダーPK660D」のおかげ!

正直、パンニーダーがなかったら、自分たちは再挑戦したのだろうかと考える。そう、汗をかき、筋肉を駆使してこねていたら、多分筋肉痛が消えて、その大変な思いも薄れた数ヶ月後でなければ再挑戦していなかったかもしれない。またあんな大変なことをしなければいけないのか(そう考えると毎日手ごねしているパン屋さんには頭が下がる)と思ったら、成功の保証もないのに挑戦するのはかなりのモチベーションがいる。

しかしパンニーダーがあるなら、実際のニーディング(こねる)作業は全て機械任せ。なので失敗した時に立ち直りやすいのもパンニーダーの重要なポイントなのではないかと思ってしまった。なぜならもう筆者は、次のパン作りは何にするか、考え始めているからである。筋肉痛で苦しんでいたら、こうはいかないはずだ。

家庭用パンニーダー PK660D はこちらから
洗えてたためる発酵器mimi PF100 はこちらから

文/清水りょういち 撮影/清水葉子

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