前回「ニーダーを使った初めての男のパン作り〜妻の手も借りて〜」で、何とか焦がしつつも人生初めてのパン作りをこなした筆者。今度は健康が気になる中高年なお年頃ということもあり、ヘルシーな「全粒粉くるみパン」作りにチャレンジだ!
パン作りを始める前と作った後で
パンへの目線が大きく変化した!
前回 ニーダーを使った初めての男のパン作り〜妻の手も借りて〜 で、見た目は何だが、結構美味しくて感動体験でパンの魅力にとりつかれてしまった筆者。その後、「80分でできるお手軽パンレシピ」を成功させ、もはや今までとはパン屋に行っても、視点が違う自分となった(一度や二度の経験で、調子にのるかという意見もあるかもしれないが…)。
そしてひたすらあちこちのパン屋に足を運ぶことも多くなった。ところがこのパンというものは、精製された小麦粉で作られるのが基本。なので中高年の筆者としては、実はそんなに積極的に食べ過ぎて良いものでもない。
そこで気になってきたのが、全粒粉を使用したヘルシーなパン。そして日本ニーダーのレシピを眺めていたら、パンニーダーの力を借りればどうやら 全粒粉くるみパン なら、何とかできそうだ。しかもくるみパンというのも好物なのでぜひともこれは成功させたい。
二段階ニーディング、
挑戦させていただきます!
今回、必要な材料は2つに分けて用意する。そう、今回は一気に材料を入れて突っ走るよりも進化した2段階ニーディングにチャレンジするのだ。
強力粉 120g、ドライイースト 5g、砂糖 15g、水 204g
と言っても実際は、発酵を邪魔する塩を入れずに5分間ニーディングして10分間熟成し、より発酵を促してから、おもむろに残りの塩を含んだ材料を投下するだけなのだけれど。それでも本格派に一歩近づいた気がするので、おすすめな手法だ。
強力粉 90g、全粒粉 90g、塩 4g
今回のレシピを見て、改めて気がついたのが、全粒粉のみではグルテンが生まれにくく、強力粉と混ぜて使うということ。お恥ずかしいことに、全粒粉パンはすべて全粒粉で作られていると思っていた。そういえば市販のパンをよく見ると、全粒粉○パーセントと書いてある…。
くるみはこねあがり2〜3分前に入れるとのこと。15分ニーディングはパンニーダーのタイマーで設定できるが、素人なのでバターのタイミングやくるみタイミングを適宜別のタイマーが鳴るように設定する。トッピング用くるみ6個はよけておく。
ほとばしる不穏な空気。ひょっとして、
我々は”やってしまった”のだろうか…!?
人間、慌てるとろくなことはない。何かがおかしいとはっきり感づくためには、それなりの余裕が必要なのだ。そう、我々は失敗した。
つまり、焼いていて気づいたのだ。大きな失敗をしでかしていたことを…。パン作りに慣れている人なら当然のことだし、常識で考えても当たり前のことだが、余裕のない素人に毛の生えた筆者は気づかなかった。それも夫婦もろとも。
もはや時すでに遅し。そう、前回使用したパン型にぎゅっと詰め込んでしまったがゆえに、形が前回と同じになってしまったのだ。切れ込みなどどこへやら。考えてみれば当たり前だ。レシピの完成予想図になるためには、パン型にくっつけて詰め込んだら、それは無理だ。
ちなみにその正しいくるみパンの5つの切り込みを入れた不思議な形は、くるみをスライスした時の形がモチーフなんだとか。
中にくるみも入っていて、二段階ニーディングのおかげか、発酵不足の時に出るアルコール臭もなく、全粒粉ならではの穀物風味もふんわりとして、食べたら美味しかったのだが、やはりこれは成功とは言えまい。
再びチャレンジ! 今度こそしゃれた形の
全粒粉くるみパンを焼いてやる!
パン型に入れてしまったタイミングまでは同様の行程なので割愛。しっかり「パンづくりの失敗と疑問を解決する本」(ナツメ社)も読んでの再挑戦だ。
今度はきちんとそれぞれをくっつけないまま発酵器へ。そしてオーブンで焼くこと190℃13分あまり。
多少形はいびつで楽譜のコーダみたいな気もするが、「全粒粉くるみパン」完成! 事前に用意しておいたウィンナーとピクルスとともに、バターをつけて食べる。
穀物感が軽やかに通り抜け、一度めよりも細かく砕いたくるみ(二度目は生くるみを自力でローストして使用)の風味と相まって、抜群に美味しい。しかもヘルシーなことは間違いない。切れ込みは…、まあ、あってもなくても良いような。
再挑戦への敷居もグンと下げてくれたのは
全て「パンニーダーPK660D」のおかげ!
正直、パンニーダーがなかったら、自分たちは再挑戦したのだろうかと考える。そう、汗をかき、筋肉を駆使してこねていたら、多分筋肉痛が消えて、その大変な思いも薄れた数ヶ月後でなければ再挑戦していなかったかもしれない。またあんな大変なことをしなければいけないのか(そう考えると毎日手ごねしているパン屋さんには頭が下がる)と思ったら、成功の保証もないのに挑戦するのはかなりのモチベーションがいる。
しかしパンニーダーがあるなら、実際のニーディング(こねる)作業は全て機械任せ。なので失敗した時に立ち直りやすいのもパンニーダーの重要なポイントなのではないかと思ってしまった。なぜならもう筆者は、次のパン作りは何にするか、考え始めているからである。筋肉痛で苦しんでいたら、こうはいかないはずだ。
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文/清水りょういち 撮影/清水葉子